『話を聞く』と『言うことを聞く』
『話を聞く』と『言うことを聞く』
同じような意味に聞こえそうな言葉ですが、僕は違った意味で捉えています。
『話を聞く』というのは話を聞いて新たな視点を持つことだと捉えています。
逆に『言うことを聞く』というのは言い換えれば『言われた通りにする』ということだと思うんです。
日本人の真面目な子どもは『言うことを聞く』が得意です。
『言うことを聞く』は育成年代のサッカーではあまり良くないことだと思います。
指導者の言われた通りにプレーする、まるでテレビゲームかのようにベンチから指導者が選手に指示し、それをきっちり遂行する。
そこには選手自身が『考える』という過程が飛ばされてるように思います。
そして、サッカーのピッチ上では少しズルいやつ、悪いやつの方が魅力的だったりします。
指導者の『話を聞く』
→「あー、この人はこういう事を言ってて、このことには気付いてないやろうから、こんなプレーしてやろ!」
とか
→「それもええかもしれんけど、こういうことをやってもオモロいよな!」
こんな風に発想する選手を育成していくべきだと思うんです。
指導者や大人が『言うことを聞く』事を要求してる間は、指導者や大人の思考している枠からはみ出るような突出するような選手は出てこない、と考えてます。
最近、子ども達に言うんです。
「コーチの言うことは聞かんでええから、話は聞きなさい」と。
「コーチが気付いてなさそうなことに気づいていかんとあかんよ」と。
良い意味でズルい選手の育成、頑張ります。笑
真似る、盗む
タイトルの文字だけを見ると、『ダメなこと』と思われた方がいらっしゃるかもしれませんが、育成年代サッカーだけでなく、大人になってからのサッカーでも大切なことだと思うんです。
もっと言うと、サッカー以外の日常生活においても大切なことだと考えてます。
子どもには耳と目から指導する
園児や小学生年代のサッカー・フットサル指導者は、実際のグランド現場で言葉で指導することが基本となっていることが多いと思います。
子ども達にしっかり伝わるように言葉を選び、話すスピード、抑揚にも気をつけながら指導をしているでしょう
自分の子どもの時を思い返すと、指導者の話の内容はもちろん記憶に残っています。
しかし、1番記憶に残っているのは指導者が実際にゲームに混ざっていたときの華麗なプレーや卑怯(あえてこの言葉をつかいます)な駆け引きばかりです。
- 身体の向きとは逆に出るパス
- パスかなと思ったらドリブルされる
- 取れた!と思って足を出したら股を通される
- マークにつけた!と思ったら自分の背後を取られてる
- ボールを奪えた!と思ったら少し強引に取り返される
などなど
百聞は一見にしかず、という言葉もあるように実際に目で見ること(見せること)は非常に大事なことだと思うんです。
中学生の時に出会っためちゃくちゃ上手いコーチがいました。
その人はフットサル界でも有名な人で、その人のプレーを見た瞬間、「オレもあんな選手になりたい!」と思ったのを今でも覚えてます。
そんな自身の経験も含め、僕たちはなるべく指導者が子どもたちのゲームに混ざるようにしています。
大人がゲームに混ざり、プレーを見せる
↓
- あんなプレーしたい!
- 真似してみよう!
- あの人でできるならオレにもできる!
過去、たくさんの選手に携わってきましたが、上達が早い選手は指導者のプレーを真似したり、そこから工夫をしていました。
それと指導者に本気で挑んできて、負けたら本気で悔しがる選手です。
ふと聞いた話ですが、セゾン出身の乾貴士選手のプレーは岩谷さんのプレーにそっくりだそうです。
逆に言うと、指導者のプレーは子ども達に見られてるでってことでもあります。
真似て、盗まれても良いように指導者として動ける身体作りします!笑
育成年代におけるフットサルの重要性
新型コロナウイルスの影響で体育館の使用を控えることにしておりましたが、10月よりスクール練習でも体育館の使用を再開し、それに伴い、フットサルの練習も再開いたします。
さて、今回は小学生がフットサルをするべき理由について伝えさせて頂こうと思います。
まず大前提として、グラビスフットボールクラブではフットサルを一つの競技として捉え、サッカーのためのフットサルではもちろんのこと、フットサルのためのフットサルを指導しております。
相手選手との距離が近いフットサルでは正確な技術に加え、その場に応じた状況判断・選択が必要になってきます。
そうした接近戦の場数を増やすことで次のようなメリットがあります。
- 駆け引きのバリエーションが増える
- 相手が寄せてきても慌てない技術が身につく
- 状況状況に応じた守り方
など
つい最近ではセリエA・ユベントスの下部組織でフットサルを取り入れることが話題となっていました。
https://www.juventus.com/it/news/articoli/nasce-il-progetto-futsal-per-la-crescita-dei-giovani
また、マンチェスター・シティ監督のグアルディオラは戦術のヒントをフットサルから得ているそうです。
このようにフットサルをプレーしない理由がないほど、育成年代でフットサルをプレーすることはメリットだらけです。
ちなみに、グラビス代表の林も中学生時代にフットサルをプレーしていたからこそ、プロフットサル選手という道に出会うことができました。
育成年代にフットサル文化が根付いたとき、日本はサッカー先進国になると本気で思ってます。
前にならえ、ではなく
久しぶりの更新となりました。
基本的にグラビスのスクールでは、スタッフがゲームに混ざるようにしています。
もちろん、混ざらない日もあります。
そこは選手の様子や状況を観て、当日に決めます。
数週間前の練習で僕が子どもたちと一緒にプレーしてたとき、ある5年生の選手が僕のボールを奪いに来たので、軽く腕でブロックしたら、その子はコケてしまって、そのまま泣いちゃったんですね。
「あ〜、テンション下げてしまったなー。
悪いことしてしもたな。」
って思って、始まった次のゲーム。
「倍返しだ!」とばかりにこれまでのゲームよりも僕の持つボールを取りにきました。
いや、あれはもう狩りにきたと表現した方が良いかもしれません。
元々、この選手の良さは怖がらずにボールを奪いにいけることなのですが、良い意味で日本人らしくないというか、海外の選手って狩るようにボールを奪いにいけるイメージがあるのですが、それに近いものを元々持ってるな、と。
おそらく本人はそんなこと何も考えてないと思いますが。笑
もちろん怪我をするリスク、怪我をさせてしまうリスクは伴います。
でもそれは重々承知。
最近の小学生は僕が小学生の時に比べてボールを扱うという点では全体的にレベルは上がってると思います。
※ここでは「技術」ではなく「ボールを扱う」という表現にしておきます。
でもこうやってボールを奪うっていう点で魅力を出せる選手ってなかなかいないんですよ。
海外のサッカー選手でいうところのビダルみたいなイメージです。
ビダルのプレー集↓↓↓
単純に、もっと日本からこんな選手が出てきたら面白い(こんな髪型の選手も出てきてほしい笑)って思いませんか?
ボールを扱うってことを疎かにするって意味ではなくて、もちろん技術を磨いた上で、違う所でもこんな風に魅力を出せる選手が出てきてほしいし、輩出していきたいなって思ってます。
考える習慣
サッカー指導者に限らず、子どもに何かを教えてる人なら必ず経験したことがあると思います。
「コーチ、トイレ行ってきていいですか?」
この質問。
僕自身も指導を始めてからこの質問を何度も子どもたちからされてきました。
だから僕はいつも子どもに聞き返します。
「行ったらあかん、って言ったらそこでお漏らしするん?」って。
そしたら子どもは
「えっと、、それは、、」
みたいな感じで返答に困ります。
僕としては子どもがいつトイレに行くかなんてどうでも良くて、トイレに行くのなんて本当に小さい話ではありますが、「自分で何かを決断すること」、これが苦手な子どもが多いような気がします。
これってサッカーの試合中にも現れていて、試合中に何をしていいかわかっていない子や何もしようとしない子ほど、トイレの質問をしてきます。
グランドに来る時間を自分で考える
水分を取るタイミングや量を考える
練習の意味を考える
自分のプレーの振り返りをする
などなど
毎日の練習の中で考える習慣をつけることは全然可能ですよね。
ただこれも大人が子どもに強制するのではなく、仕向けていくことが大切だと思います。
最近、子ども達にリフティングの課題を出してますが、リフティングが何回できるかどうかはどうでも良くて「昨日よりも1回でも多く出来る様に挑戦してるか」を僕たちは見てます。
実際に何人かの子どもはグランドにいつもより少し早く来てリフティングの練習をしてます。
おそらく、お母さんに「ボール蹴りたいからいつもより10分早く送ってほしい」としっかり伝えてるのでしょう。
子どもなりに考えた末の些細な行動を見逃さないようにしていかないといけないですね。
どのように伝えるか
今日は低学年クラスに体験練習の参加があり、低学年クラスと高学年クラスの練習時間が少し被る時間帯がありました。
先にコートの大きさだけ準備しておいて高学年の子たちに「3チームに分けて勝ち残りで試合しよう」とだけ伝え、低学年クラスの練習に注力していました。
数分後、パッと高学年クラスのコートに目をやると、すでにゲームが始まっていました。
勝ち残りということもあって白熱するゲーム。
大人から言われてプレーするのではなく、主体性を持ってプレーする。
主体性を持ってプレーしているからこそ魅力的なプレーも随所に見られました。
教え込もうとするほど子どもは上手くならない
僕ら指導者に本当に求められてるのはみっちり指導することではなく子どもがのびのび主体性を持ってプレーできる環境をどんな時も整えることなのかなと思います。
子ども達にヒントや考え方、物の見方だけを少し伝えてプレーしてもらう。
こんな感じでやるんやで〜
っていうのを言葉で伝えてもいいし、プレーが得意な指導者なら実際に試合に混ざって見せて伝えても良い。
その伝え方が的確であれば、子ども達のプレーは劇的に変わるはずです。
魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ。ってやつですね。